私立中学情報サイトにおける学校図書館紹介(2025年3月7日)

立教大学の中村百合子です。過日、知人と話をしていたら、孫が私立中学受験をすることになったという話が出ました。そのお孫さん、勉強は好きじゃないという話を聞いたことがあった気がして、本人の意志で受験勉強をはじめた理由を聞いたところ、学校訪問に行って本人がやる気になったということでした。特に図書館なんかが気に入ったみたいだという。私が学校図書館の研究をしているとは知らない人からそんな話が出てきたので、なるほどねえと。十年くらい前かな、学校図書館が私立中学受験の際に検討されているとはじめて聞いたのは。というわけで、気になったので、どんなふうにどんな学校図書館が紹介されているのか検索してみました。

 「キャンパスに込められた思いと教育のビジョン 私学のキャンパス①【図書館・図書室】」(関西版スクールポット 中学受験版)では、次の16校の学校図書館について施設を中心に短い紹介があって、各校1枚ずつではありますが、とてもきれいな写真が掲載されています。以下にリストをあげるとともに、私が見つけた同校の学校図書館のページのリンクをご紹介します。

 「受験情報ブログ LOVELY LIBRARY」は、株式会社首都圏中学模試センターが出版している情報誌『shuTOMO』に連載されているものの転載ですが、インターネット上で公開されているのは以下のみ、一部です。学校図書館の司書または司書教諭の先生へのインタビューにもとづく記事です。

 図書・雑誌類は一切検索していなくて、上記はインターネット検索で出てきたものを整理しました。私立中学校は全国に781校ということなので(日本私学教育研究所「学校数の推移」2024.12.18)、もう少し多くの学校が図書館(室)に力を入れていることをアピールしているかと思っていました。でももちろん、学校施設の紹介としては必ず、どの学校も、図書館(室)を紹介はしていますし、広報に取りあげられなくても充実した学校図書館はたくさん日本にあるでしょう。また、今回の検索では、探究学習にからんで学校図書館が「言及」されている、というような記事は上記リストに加えませんでした。

 ただ、文部科学省の令和2年度「学校園書館の現状に関する調査」の結果を見ると、学校図書館への司書教諭の配置率は、小学校・中学校・高校すべての学校段階で私立は国立・公立よりも低いです。学校図書館法で司書教諭の配置が定められる12学級以上の規模の学校での配置率だけをみても、私立の方が低いのです。一方で、学校司書の配置率は私立の方が高くなっています。私立だからどこでも公立よりもよい学校図書館をもっているかというと、そうでもないかもしれないです。でも、配置率というものは、言葉のとおり、実際に仕事をしているということを意味してはいないことにも、文科省のこの調査結果をみる際に注意する必要があります。

 高校の無償化が実現するというような話が出てきていますが、無償化以前に、まず、教員の待遇改善に予算を使ってほしい…以下、YouTubeにも共感しました。

著者
中村百合子
公開日
更新日

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