本稿は,その1の続きです。
今回の学会発表で採用されているポスターセッションは,発表者に割り当てられた壁1面を使って,50分間の間に自由に対話ができるというものです。そのため,「呼び込みをしないので,誰にも聞いてもらえないかも」「基本1対1の対話なので,時間の使い方に注意しないと」などの心配事がありつつも,「発表内容に興味を持っていただいた方」に絞った対話ができます。
それでは,使ったポスターを並べます。この内容から,研究の趣旨が無事に伝わるのでしょうか・・・?(今更ですが)
3枚目。
Spontane.infoの一般公開が遅れていたために,立教大学で開催されたセミナーにて,ご参加の皆様に試用していただいたお話。
満足や不満足のご意見をいただき,そこからシステム改善への道筋を掴む。
4枚目。
大きな問題としてとらえたのは,AIとの会話形式に起因する「十分な回答を得られない」「ざっくりとした回答になる」「何度も会話しないといけない」という回答そのものへの問題と,質の保証・根拠。
まず,回答への問題点については,生成AI内部にて,「利用者の質問でシラバスの生成を求められた場合は,シラバスとして十分に成り立つ情報を解答の基本とする」指示を出しておく。これにより,「シラバスを作って」だけでシラバスを作れるし,そういわなければ別の会話もできる。
次に質の保証・根拠については,生成AI内部にて,「最終的な回答をする前に,必ず,指定する法的根拠に沿っていることを確認すること。誤りがあれば,それを正してから回答すること」と指示を出しておく。今回使用した法的根拠は,生成AIは既に学習済みであった。
5枚目。
先の問題点「十分な回答を得られない」「ざっくりとした回答になる」を含め,「何を質問したらよいかがわからない」については,生成AIとの単なる会話形式を改め,作りたいシラバスの内容を「メニューから選ぶ」方式を新たに構築した。これにより,ボタンをぽちぽちと押すだけで目的のシラバスを作れて,さらに細かな要望も加えることができるようになった。
6枚目。
「作った」→「使える」に至る壁は,システムを構築する者として,非常に大きい壁だと考えています。作る側は,システムの制約を理解しているので,何ができて何ができないか,何をするにはどれだけの労力が必要か,コストに見合うか,といった内部のことを把握しています。しかし,使う側にとっては,そういった内部のことはどうでもいい事です。目的について,正確に素早くしっかりと安価に達成できることが重要です。
・・・ということなので,まずは何よりも「使ってもらう」ことを始めなくては,と考えています。
7枚目。
最後のポスターは,本サイトの宣伝です。実は?ポスターを所定の場所に貼る作業は,ポスターセッションが始まる3時間以上前からOK!だったのです。会場の出入りは期間中自由だったので,「より多くの方に見てもらえるチャンス!」とばかり2時間半ほど早めに行って準備を終えていました。
多くの人の目にとまればいいなー,と思っていたのですが,この場が教育工学会だからでしょうか,QRコードからのアクセスはありませんでした。。。残念です。
以上です。
いただいたご意見,対話したことをまとめます。今回お話できた方々のほとんどは,「シラバスと生成AI」に興味がある方々でした。(まぁその,私自身が司書教諭養成課程に精通していないのですが・・・) そのため,広い意味で「生成AIはシラバスをちゃんと作ってくれるの?」という点でのお話が主になりました。それともう一つ,「生成AIは,嘘をつく(=ハルシネーションを起こす)よね」という認識は,皆さんが理解している点でした。昨年度は「へー,嘘をつくこともあるんだ」とのご意見もあったものですから,生成AIの問題点の共有が進んだことを実感もしました。
いいと思った点
- メニューで選んで作れるのは,分かり易い
- 作った後に,対話形式で修正できる形は良い
- 法的根拠に触れているのであれば,生成される内容に安心できる
気になる点
- 図書間司書養成課程のシラバスだけしか作れないの?
- 過去のシラバスを参考に作ってくれてるの?
- 生成した者が「いい」「わるい」の評価はどうする?
- 利用者は限定?
- 費用は?
こうしたら?
- FD(Faculty Development:大学教育の質を高める教員の活動)に関わる立場だと,大学ごとにシラバスの基本モデルがあるので,それを基準に生成してくれると確認作業が減る
- 昨年度のシラバスを読み込ませて,それを元に生成すると実用的
- シラバスを使って判断するのは学生なのだから,学生に評価してもらう
それでは。
そう遠くない近いうちに,会員の皆様にも生成AIを使ったシラバス作成サービスを体験していただくべく,準備を進めます。※会話をしている様子を「その3」でご覧ください。







