あなたに新しいメッセージ/いいねがあります。

【連載】学校図書館の育て方 ❍ 2 ❍

読書指導は全校挙げて ~冊数より質の維持を重視~

 本を読み終えて列を作り、担任と言葉を交わしながら記録カードにはんこをもらう子どもたち。読書ポスターを作る小4の授業では、科学の本が積み上がった机からお気に入りを見つけようと真剣な表情です。1年生は絵本「てぶくろ」の読み聞かせの後に、登場人物の持ち物を当てるクイズ[アニマシオン]で盛り上がります。

 元司書教諭の田揚江里さんが学校司書と取り組んだ東京都狛江市立緑野小の読書推進は、今も色あせません。読むことを子ども任せにせず、全教員を巻き込んだ結果、図書館を学びの中心に据えることに成功しました。

 図書館は子どもと教員が必ず通る1階玄関ホールのすぐそば。入り口に新刊や旬の話題が展示され、貸し出しカウンター付近に学年別のお薦め本や作家の特集コーナーが設置されるなど、本の世界へ誘います。

 さらに緑野小独自の課題図書を中心にノンフィクションを読む機会を設けたり、ジャンルが偏らないよう選書したリストを配布したり。冊数でなく読書の質の維持にもこだわります。

 田揚さんが大事にしてきたのが、教員との協働です。読み聞かせの他、読書週間には各担任がテーマに即した本や作家について語ります。毎年、卒業前の6年生向けには、本の紹介冊子を全教員で作成しました。

 常に本に触れ、読むことへのハードルが下がると、読む力が上がります。「読める」とは物語を楽しめるだけでなく、文章を通じて未知の世界や誰かの考えを理解できることです。それができて初めて情報を整理し、引き出すことができます。

 「学習/情報センター」としての図書館を機能させるためには、全校を挙げて読書に取り組むことが大前提です。


中山美由紀です。私立高校の専任司書教諭や東京学芸大学附属小金井小学校司書を経て、現在は成蹊大学等の司書教諭課程で教えています。

本稿の初出は共同通信社の配信で12回の連載です。2021年5月25日の静岡新聞を皮切りに、2022年2月8日の東奥日報まで、全国の16紙に掲載されました。イラストは初出と同じものを、カシワイ様にご提供いただきました。

著者
中山美由紀
公開日
更新日

関連記事

0
あなたの考えが大好きです、コメントしてください。x