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板橋区立中央図書館見学記

立教大学の中村百合子です。2025年度秋学期、「図書館UX論」という授業を本学司書課程では開講しています。これは図書館に関する科目の「図書館施設論」にあたるものとして文部科学省に提出している科目で、私が今年はじめて担当しており、次のような目標をたてて授業を進めています。

UX(User Experience=利用者の体験)に焦点をあてた図書館・情報センターの設計,評価,改良の理論と実践を学び,UXという観点の有用性や重要性を理解する。建築に限定せず,日常的に変更可能なレベルの設備やサービス(オンラインの情報資源やサービスを含む)の設計にも視野を広げて,図書館・情報サービスの開発と提供の中心に利用者をすえて思考,計画立案をし,発言・行動できるようになる。立教大学「図書館UX論」2025年度シラバス

 この科目は100分授業14回分を、200分授業7回分で提供するという形にして、そのうち3回は半日かけて図書館見学をクラスで行うことにしました。この見学部分は今学期すでに終了しました。毎回、見学前には、見学先図書館についての記事や論文を配布し、読んでから来てもらうようにしていました。そして、見学では、図書館の職員の方たちに見学を案内していただくだけでなく、学生たちが個別に見学する時間ももち、また3回中2回については、建築家の先生方にいらしていただいて説明をしていただいたり、質問をさせていただいたりする機会をもつことができました。東京大学総合図書館については、同大学の生産技術研究所に所属される川添善行先生豊島区立北巣鴨中学校については、岡田新一設計事務所の柳瀬寛夫先生と井津利貴先生にいらしていただきました。とってもお忙しい先生方がボランティアでいらしてくださったので、学生も私も大感激でした。

 学生たちはみな、大変よい観察をしましたが、今回、またもう一回を使って、受講生の一人で、学校図書館の研究を進めたいと言って北京から留学してきている曲さんに、図書館見学での気づきについて報告してもらいます。


立教大学文学研究科教育学専攻博士前期課程に所属する曲灵韵(きょく・りんゆん)です。私は、2025年秋に、クラスメイトたちと一緒に板橋区立中央図書館、東京大学総合図書館、そして巣鴨北中学校の学校図書館(学習情報センター)を訪れました。それぞれの施設の建築や運営、利用者の様子を観察したので、見学で得た印象を順に整理し、各施設の特徴や自身の気づきを二回に分けて報告します。各図書館は設置目的や利用者層、空間構造が異なり、その違いから図書館が果たす役割や特徴を比較できることが興味深かったです。

 まず板橋区立中央図書館についてです。図書館は地上3階建てで、装飾の色調は上に行くほど濃くなり、上の階ほど静かになる設計になっています。1階の書架の間には小さな通路や小さな座席があり、とても面白いと思いました。専用の読書会スペースやベビーカー置き場もあり、利用者のニーズをよく満たしていました。また、絵本、知識書、技術書という区分も興味深く思いました。

 2階には十分な座席があり、障害者向けの設備も整っています。2階の書架は日本十進分類法に従って分類され、壁には十進分類表も掲示されています。3階は最も静かで、極めて静かな学習エリアや地域資料コーナーがあります。

全体として、座席は十分で区分も明確、直射日光への対策もされていて、光の入り方も良いと思いました。また、壁には多くの案内表示が貼られていて、書籍の探し方や各エリアの利用方法が分かりやすくなっていました。利用者の視点から見ると、1階の読書会スペースは利用率が高く、2階は主に読書する人(特に漫画や新聞)、3階は学習者が多く、ノートパソコンやノートなどを持ち込んでいました。

 気に入った点もいくつかありました。まず一つ目は、ボローニャ絵本館にはボローニャらしい小さな建築装飾があること。実際に登ったりはできないけれど、二つの場所がつながっている感じがして面白いと思いました。二つ目は、ほとんどの座席が窓向きで眺めが良く、直射日光も当たらないことです。また、座席の種類も多様で使いやすそうでした。三つ目は、多様な部屋があって柔軟に使えることです。
四つ目は、スタッフの動線が利用者とあまり重ならないので、読書や本探しの邪魔にならないことです。気になった点としては、2階の床が少し響くことで、歩くときは注意しないと静かにならない点です。カーペットが薄いせいかもしれないと思いました。

 次回は東京大学総合図書館と豊島区立北巣鴨中学校の見学を報告します。

著者
中村百合子
公開日
更新日

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